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BARを出ると、外は少し冷えていた。
そっと腕をさすると、高藤さんは寒いのかい?と笑って、上着を貸してくれた。
高藤さんの上着からはあの香水とタバコの香りがして・・・また私は胸が締め付けられる。
今日初めて会った人なのに、離れるのがさびしいと思った。
でも
女性の私からどう言って引き留めていいかも分からない。
それに高藤さんには、ご家族がいるかもしれない。
そう思うと、何も言えなくて。
ただただ高藤さんの後に従って、車に向かう。
車まであと数メートル程の地点で、急に高藤さんが振り返った。
下を向いていた私は思いっきり高藤さんの胸に頭をぶつけてしまう。
「痛っ・・・!」
高藤さんがあわてて私の顔を覗き込む。
「すまない。大丈夫かい?」
高藤さんの大きな手が私のおでこに触れる。
予想外の熱い手に、自分の頬が熱くなるのを感じた。
何となく高藤さんと視線が合わせられずにいると、高藤さんの手が私の顎を掴んだ。驚いて高藤さんを直視してしまう。
「ねえ、美夏。」
「はい!?」
「私達もいい大人だ。」
「はい・・・?」
「お互いに惹かれあっている気持ちを抑えるのは、間違っていると思わないかい?」
高藤さんの言葉に、茫然とする。
そして数秒後、顔が更に熱くなるのを感じた。
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