2747人が本棚に入れています
本棚に追加
車が止まると、そこにはきらびやかなホテルだった。
しかも、私なんかでも知っている様な超一流ホテルで。思わず顔がこわばってしまう。
「あの高藤さん?」
「なんだい?」
「ここって」
「ああ、せっかくだから泊まってみようと思って。」
その言葉に絶句する。
ここは『泊まってみようと思って』、という軽い気持ちで足を踏み入れるレベルのホテルじゃない!!絶対違う。
そもそも、何でホテルにいるんだろう。
今日二人で泊まるの!?
混乱で頭を抱えていると、いつの間にか車外に出た高藤さんがドアを開けてくれた。
「美夏?」
不思議そうな顔で私を見る優しい目。
うなだれながら外に出ると、まるでそれが当たり前かの様に高藤さんが私の腰に手を回す。
とたんに強く感じる香水の香り。
その香りに、腰に置かれている手のぬくもりに頭がくらくらしてしまう。
高藤さんは当然の様にホテルに踏み入れると、先ほどの運転手が高藤さんに近寄り、ホテルのカギを静かに渡す。
それをうなずぎながら受け取ると、高藤さんは迷うことなくエレベーターに乗り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!