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「鍵・・・」
「うん。チェックインしてもらったんだ。」
すごい早業・・・。そういえばロビーを歩く間も、ホテルマンの人達が高藤さんに注目して、そして礼していたなあと思い出す。
ひょっとしたらよくこのホテルを使っているのかもしれない。
『チンッ』
エレベーターがすっと開くと、そこは部屋の玄関になっていた。
豪華なリビング
何の為にあるのか分からない大きなダイニング
キングサイズのベットが置いてあるベットルーム
大きな液晶テレビ
贅沢なミニBAR
その全ての部屋に生花が飾られており、部屋の雰囲気を華やかにしている。
その豪華さに気後れしていると、『美夏』と高藤さんが呼ぶ声が聞こえた。声の方に近づくと、高藤さんは窓際に立っていた。
「美夏、ここからの眺めはとても綺麗なんだよ。」
そのお誘いに、大きな窓を覗くと、そこにはきらびやかな夜の東京が広がっていた。真下には都内でも大きい公園の緑がライトアップされており、遠くには東京タワーや高層ビル群がキラキラと光っている。
「すごい!とても綺麗!!」
そう言って、笑顔で高藤さんを見上げると、高藤さんは丹精な顔に極上の笑みを浮かべた。
「!!」
その色っぽい表情に、頬が熱くなるのを感じる。
思わず視線を逸らすと、高藤さんがふっと笑うのを感じる。
そしてゆっくりと高藤さんが私の腰に手を伸ばし、そっと抱き寄せる。
高藤さんのスーツをほほで感じる。そしてその奥に隠れている高藤さんの体温も。
「美夏」
耳元でささやかれた声に、私は動けなくなってしまった。
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