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タイミング良くお酒が運ばれてくる。
私に置かれたのは夏の空の様な綺麗な青いカクテル。
「乾杯」
「・・・乾杯」
かつんとグラスをぶつけ、一口飲む。
「・・・!おいしい!」
「だろう。ここはカクテルがとても旨いんだ」
高藤さんが満足げに笑う。
改めて高藤さんを明るい室内で見ると、ひどくその顔が整っていることに内心驚いた。
大人の男性というのはこういう人のことを言うのかもしれない。
落ち着いた漆黒の涼しげな目、無造作にセットされている黒い髪、きれいな長い指、多分高いスーツ。
・・・社内には絶対にいないタイプ!
そう思い、少し笑ってしまった。
「ん?」
「あ、すみません。」
「どうしたの?」
「いえ・・・高藤さんって私の職場ではいない雰囲気の方だなあって思いまして。あの、お仕事は何をされているんですか?」
その質問にすこし間を置いてから高藤さんは答える。
「システム関連かな?」
「はあ。」
「美夏さんのお仕事は?」
「ええと、普通の会社のサラリーマンです。」
私の返事に高藤さんは目を丸くし、そして声をひそめて笑い出す。
「そうか。最近の若い女の子は・・・自分の事をサラリーマンって言うんだね」
笑いが止まらないらしい高藤さんを見ながら、ちょっといらっとしてしまう。
「・・・いいじゃないですか。それに私、そんなに若くもないし。」
すねた言い方になってしまった。
高藤さんは笑いをひっこめてじっと私を見る。
「十分若そうに見えるけど。失礼ですが何歳ですか?」
「今年27歳です・・・」
その答えに高藤さんがゆったりと笑う。
「やっぱり十分お若いですよ。私は今年で37歳ですからね。」
その言葉に思わず納得してしまう。それほど高藤さんの雰囲気は落ち着いている。
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