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 毎日の楽しみである雑貨屋訪問。 今日もそれは欠かさない。てか雨でも嵐でも雹が降っていようと、猛毒に犯されようと足を運び続けると誓っている。  あぁ、横顔のエリザさんも素敵だ……。 「こんにちは」 「あら、ユウさん。こんにちは……」  ん?何かいつもと違うぞ?何だか元気が無い? 「どうかしたんですか?」  え、どうしよう。マジで心配。 「実は……」  そこからのエリゼさんの話は長かった。  要するに、だ。  昨日、俺が訪れた時、エリゼさんは買出しに行った。 そして買ってきた食材でいつものように料理をしたところ、それを食べたゴッツさんが突然腹痛を訴え、寝込んでしまったらしい。 自分が原因でそうなってしまったと大変反省の色を覗かせるエリゼさんの顔を見て俺は何だか悲しくなった。それと共にゴッツさんへの怒りの感情も抱いた。 (エリゼさんの手料理で腹を下しただと?生意気だ!俺にも一口食わせろ!)  そして腹痛を訴えてきた父を近くの診療所に連れて行ったところ、どうやら普通の腹痛では無いらしい。あれ何だかダジャレみたい。  どうやら食材が原因のようで、何やら特別な薬草が必要とのこと。しかし、その薬草は森の奥深くに行かないと生えていないらしく困っている、と。  俺の出番だな! 「そういうことなら俺に任せてください」 「え、でも……森には危険な魔物がいるし……」 「これでも冒険者してるんで、森とかそういった所慣れてるんですよ。ほら、昨日も迷宮から無事帰ってこれたし」  本当は死に戻りです、とはそれこそ死んでも言えないが。 「ありがとう。でも無理だけはしないでくださいね?」 「うん、任せて!」  そうと決まれば早速行動に移そう。 最初はゴッツさんに怒りを抱いたが、エリザさんとのきっかけになるかもしれないとなると、ナイスだ、ゴッツさん。 そんな不謹慎な事を考えつつ、俺は薬草が生えているという森に向かった。
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