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《Brave Hearts Online》  夢にまで見たフルダイブ式オンラインというのに加え、美麗なグラフィック、職業やスキル選びといった好奇心を擽るシステムで俺は凄まじい勢いでこのゲームに魅了されていった。  プレイ歴五年となった今は当初の頃程の新鮮さは無いものの、俺はこの仮想世界で俗に言う廃プレイをしてきた甲斐があって、数多程いるプレイヤーの中で、トップクラスのステータスを有している。  町行く新参プレイヤーからは尊敬の眼差しを浴びるし、PVPエリアでは中堅から玄人にあたるまで俺の名を知らない奴はいない。  そんな俺にはある楽しみがある。それは―― 「いらっしゃいませ。 あら、ユウさん。いつもありがとう」  人懐っこそうな笑顔を振り撒くのは、始まりの街の雑貨屋の看板娘ことエリザさん。ちなみにめちゃくちゃ美人。 「あ、それじゃあいつものを……」  五年の間、ほぼ毎日通い続けている。買うものも個数も決まっている。 「ウィンドウから買いたい品物を選択し、個数をお確かめの上、購入ボタンを押してください」 「あ、いや……ですよね……」  そう。残念ながらエリザさんはNPCなのだ。俺の初恋は儚くも散っている。そんな事はプレイして3日で分かっている事だ。だけど、それでも。 「エリザさん、今日も綺麗ですね!」  購入ボタンを押し、俺はエリザさんに声を掛ける。 「ありがとうございました~。また来てくださいね!」  完璧な営業スマイルだ。 ステータスやスキルの熟練度をほぼカンストまでさせてしまっている俺の唯一の楽しみ。  あぁ、今日もエリザさんは素敵だなぁ。  俺は購入したアイテムを確認し終えると、いつもの狩り場へと向かうため、転移門のある方へと歩いていくのだった。
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