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 死に戻りによるデスペナルティに気落ちしながら、俺はベッドから起き上がった。  家具に金を掛けていないため、俺のホームの家具は初期の物から変わっていない。  起き上がるためにベッドに力を込めるとキシっと言う不快な音が部屋に響く。  一瞬違和感を感じたが特に気にする事もなく、狩りで減ったアイテム類を補充するために家を出た。  向かう先は雑貨屋。一日にエリザさんの所に伺う事は余り無い。以前死に戻りした時もわざわざ転移門から隣街まで行ったのだ。  その訳はこのゲームの仕様が関係している。 始まりの街の雑貨屋にいるエリザさんはログインしてから一回目の買い物時にしか店番をしていない。  二度目の訪問からは父親であるゴツい風貌のゴッツさんと店番を代わるという設定になっており、俺はこの事実に気付いた当初、ゴッツさんの姿を見るや否や余りの衝撃に即座にログアウトしてしまったのは良い思い出である。  まぁ、最近はゴッツさんのゴツい風貌に慣れたというのもあり、ログアウトまではしないものの余り利用はしないでいたのだが、死に戻りとあっては致し方ない。  隣街に行くのも有りだが、何だか今日はめんどくさいから始まりの街の雑貨屋で買い物を済ませて一刻も早くペナルティで減った分の経験値を巻き返したい。 「あのゴツいゴッツさんの娘がエリザさんだなんて、今でも信じられないよな……」  俺はそんな独り言を漏らす。 そういえばエリザさんのお母さんには会った事無いな。という思考まで至った辺りで目的地であった雑貨屋に到着した。
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