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聖ミカエル学園の美しい薔薇園。
その薔薇園では一年中咲き誇るという薔薇たちが色とりどりの花を咲かせている。
一説によれば、学園の卒業生が改良した薔薇らしい。
そんな魔法のような薔薇園の奥。
その一角に、レンガ造りの巨大な塔はあった。
聖ミカエル学園の図書館塔である。
図書館塔の一室、図書委員室の一番奥のデスクでは、明るい緑に水色を溶かし込んだような青緑色の髪の黒縁眼鏡をかけた少年が、白に金で縁取られ、左胸に翼をモチーフにした学園の校章が刺繍された高等部の学ランを着て黙々と作業をしている。
そのデスクには図書委員長と書かれた札が置かれてある。
どうやら、この少年が聖ミカエル学園の図書委員長その人であるようだ。
幼稚舎は別にあるのだが、小中高は同じ敷地内にあり、図書館塔は共同であるため、図書委員会も合同だ。
つまり、この少年は初等部、中等部、高等部全ての図書委員の頂点に立つ。
眼鏡の奥にある双眸は薄い茶色で伏せられた睫は長く、肌は透き通るように白く、人形のような完璧な均整のとれた中性的な美貌の少年からは儚げな雰囲気が漂っている。
誰が見ても美少年と言うだろう。
少年の名は、幸村。
高等部1年、藤堂幸村(トウドウユキムラ)だ。
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