待ち人来る

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――――――――― ―――――――― ――――――― その部屋は、モノクロで統一されたシックな部屋だった。 2人部屋にも関わらず、何故か10人くらいが座れるであろう黒いソファがコの字型に配置されている。 そのソファに思い思いに4人(約1名寝ているが)座っていた。 ウルフカットにされた赤い髪をいじりながら、男同士が抱き合っているヤケに肌色率が高い表紙の文庫本を読んでいる眼鏡をかけた少年が微笑み言った。 ?「もう5月だし、王道転校生が来てもおかしくないよねー?」 少し間延びした言い方とぽわんとした笑顔は、その場の空気を何とも言えないほわんとしたのほほんとしたものに変える。 聖ミカエル学園1年4組の直江愛次郎だ。 しかし、普段学校での雰囲気とはかけ離れているし、眼鏡はかけていないはずだ。 という彼の正体は、理事長の孫・御上美月だ。 赤髪のカツラの下は蜂蜜色のほわっとした癖毛で、黒い目は本来空色だ。 この美月、実は少し遠視で近くのものは見えにくく、眼鏡がなければ、つい目を眇めるので端から見れば睨んでいるように見える。 それが、理事長の座争奪戦においての条件、「赤髪DQN一匹狼君」にぴったりだったため、学校では眼鏡を外して過ごしている。
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