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時間は少し遡り
ここは聖ミカエル学園風紀委員室。
1人の少年が作業をしながら、時々ちらちらと腕時計を見ている。
時間を気にしているのだろう。
一見黒に見える癖のない髪はよく見ると少し茶色っぽく、少し勝ち気そうな目は茶色だ。
気にしていた時間になったのだろうか、少年は作業の手を止め立ち上がった。
少年は、この部屋にいたもう1人に向かって口を開く。
?「委員長、そろそろ見まw((
??「は?ちょ、バ会長ぉおおおおおお!!!!!!」
「見回り行ってきます」という少年の言葉を遮り、委員長と呼ばれた人物はスマホを片手に叫んだ。
白に近い灰色の髪は目を覆い隠す勢いで、前髪はきっちり切り揃えられている。所謂、パッツンだ。
その前髪の隙間から時折見える双眸は淡い青。
その人物こそ、変装した極寺輪廻である。
今は京極鏡花、聖ミカエル学園の風紀委員長の座に就いている。
?「どうしたんですか?」
遮られた少年は少し不機嫌そうに輪廻に聞く。
鏡「ん?ヒヒ…ただ、またバカやらかしたバ会長を五右衛門風呂(熱湯)で焚こうと思っただけだよ、いなぞー」
輪廻は取り繕う。
変な笑い方なのは、指定された条件なので仕方ない。
いなぞーと呼ばれた少年は、微かに形の良い眉を寄せる。
?「委員長、何度も言うようですが、俺はいなぞーじゃありません」
鏡「えーでも新渡戸じゃん。ヒヒヒ」
?「阿紀です」
鏡「ん?」
阿「新渡戸阿紀(ニトベアキ)です!いい加減にしてください!!」
輪廻が話す度に、少年、阿紀の機嫌は下がる一方である。
輪廻は気にした様子もない。
鏡「ヒヒヒ、嫌だ」
阿「もう!知りません!俺、見回り行ってきます!!」
阿紀は苛立ち紛れに勢い良く扉を開閉し、風紀委員室から出て行った。
輪「あーあ、からかい過ぎちゃった」
1人に残された輪廻は、ぽつりと言う。
輪「転入生か…ふ腐、楽しませて貰おうかな」
暫く「ふ腐腐腐…」と、腐った笑いが風紀委員室に響いていた。
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