ショッキングピンク

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Pululululu Pululululu 少々散らかった部屋に電話の呼び出し音が鳴り響く。 ?「ん…なんだよ。まだ、4時半じゃねえか…」 その音で目覚めたらしいこの部屋の住人は、寝癖のついた頭を掻きながら文句を言う。 寝起きの所為か声が掠れている。 その住人は黒髪黒目の気だるそうな雰囲気を纏った二十代半ばの男だった。 ベット横に置かれたデジタル時計にはAM.04:28とある。 男は時計を一睨みし、再び布団に潜り込んだ。 Pululululu Pululululu しかし、電話は一向に鳴り止まない。 ?「ああもう!うるせぇなあ!!」 勢い良く飛び起きると乱暴にスマホを手に取った。 上半身裸なのはこの男が寝る時のスタイルだ。 いつもめんどくさがって上を着ないのだ。 手に取ったスマホの画面を見る。 表示された相手の名前を見た瞬間、言い知れぬ嫌な予感が男の脳裏をよぎった。 ?「おいおい、止めてくれよ?」 どっと疲れが押し寄せた気がしてベットに倒れ込む。 意を決して電話に出た。 ??《先輩が電話に出んわ、って出た!? 先輩、出るの遅いですよ》 電話越しに聞こえてきたのは、若い女性の澄んだ声だった。 ?「………」 ??《あれ?先輩?もしもーし》 無言で通そうかとも思ったが余計うざくなるだけだと諦め仕方なく、相手の名前を呼んだ。 ?「山中深波、何の用だ?」
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