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オオシマカムシの群れが木々の間をすり抜け、夜の森を疾走するチャバネムシに並んで飛ぶ。 少年はオオシマカムシに向かって片手を上げると、まるで旧友に話し掛けるように言った。 「よう。狩りか?」 オオシマカムシは「ヴヴヴヴヴ……」と耳障りな羽音を立てながらジッと香澄を見ている。香澄の背筋を冷たい汗が伝う。 襲って来たらいつでも抜刀する準備は出来ていた。 しかし少年は、まるで蟲と会話でもしてるかのように頷いた。 「……そうか。でも悪りぃな、この女は俺の客なんだ。オレの血を分けてやるから、それで我慢してくれねえか?」 そしてチャバネムシの触角から左手を離すと、オオシマカムシの群れに突き出す。  
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