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  オオシマカムシの群と別れてからも、少年は暫くチャバネムシを走らせ続けた。 香澄もようやくその背中に慣れてきたのか、思いがけない乗り心地の良さに感心していた。 揺れは少ないし、座面も柔らかく座り心地が良い。そしてなにより移動速度がとても速く、倒木や岩や崖もものともせずに夜の森を風を切って疾走するのはとても気持ちが良かった。 チャバネムシは乗り物として間違いなく馬車よりも優れている、と香澄は思う。 ただし、見た目の気持ち悪ささえなければだが……。  
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