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少しだけ間が空き、目の前の茂みが激しく揺れた。葉っぱを掻き分け、物音の正体が顔を覗かせる。
「……え?」
それを見て、香澄は思い掛けず唖然とした。
茂みから顔を覗かせているのは蟲ではない。ボサボサの髪に、意思の強そうな太い眉、浅黒い肌をした泥だらけの少年だった。
少年は香澄のことを物珍しそうにじろじろと眺める。
「なんだ、人間かよ」
近くの村に住んでいる子供なのだろうか、その少年の顔は幼く、香澄と同じかそれより少し年下に見える。
「それはこっちの台詞よ……」
香澄は緊張の糸が切れ、その場にへなへなと座り込んだ。
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