番外編(モブ目線)

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番外編(モブ目線)

クラスメイト目線で見た唯の話。 =================== 僕のクラスには不良がいる。 「……」 17年間。ごくごく普通の一般ピーポーとして生きてきた僕の前には不良が……落ちていた。 いや、正確には寝ている。 「あんのー…」 今日の気温は暖かいし、裏庭の日陰は最適だろう。 だけど今はSHR前にある15分の清掃時間であり、見つけた以上…注意しないわけにもいかない。 だって、僕は学級委員長なのだから。 「………すー・すー」 声をかけても反応はない。 生きている。息もしている。うんうん良かった。 いや違う。何も解決してない。 (そういえば、6限目の体育から教室にもいなかったっけ…) 八木 唯―――。 上級生と平気で揉めるような問題児。 この学校で一番怖い不良、高木先輩と仲がいいと聞く。 そんな彼は問題児クラスではなく普通クラスに入れられ、2年に上がるころには授業にほぼ出なくなっていた。 このまま自主退学でもするんじゃないか? そう囁かれていたが、しばらく前から真面目に授業を受けるようになり、派手な金髪も黒髪に染め直した。 正直、困惑しかない。 (めっちゃ怪我してたし、喧嘩とか嫌になったのかな?) 長い前髪は鬱陶し気だけど見た目だけならば、親しみやすくなっている。 ただ相変わらず口数は少ないし、友人なんていない様子だが。 (あれ?) 思い返せば八木唯は、クラス内で揉め事を起こしたことは一度なかった。 基本的に先生にあてられた問題は解くし、分からなければ『分かりません』と、はっきりと返事をしている。 一度、僕も遠くからクラスメイトに交じって嫌味を言った事があったけど、ちょっと睨まれたくらいで何かをされたことはない。 問題児・不良…なのに、元から普通の生徒だった。
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