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2章前:(あなたといる)
梅雨明けした頃。
日を感じる間もないくらい色んな事があって、
俺は今―――、新野先生の家に居候をしていた。
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(遅い…)
時計の針を見上げると、22時半を過ぎたばかり。
『今から送別会の2次会。戸締りして寝ててね』
30分ほど前にそんなメールが来ていたけれど、一向に眠気が来ない。
(つか戸締りってなんだよ。完璧に子ども扱いじゃん)
広いソファーに座ってTVを眺めているのも飽きた。
司会者が芸人をいじって笑いをとっているだけの内容なのに、観客にはウケてて笑い声が絶えない。
(先生も、よく突っ込み入れながら笑うよな…)
楽しそうに隣で笑うから、つられて俺もそういった気分になるのだけど一人だと何も感じない。
つまらないのなら寝ればいいのに、先生を待っていないと不安だ。
「早く帰ってこいよ…」
先生と一緒にて退屈だと感じる事はなくなったけど、
今度は――・・・
ピンポーン…
「――!」
部屋に鳴り響いたインターフォンの音に反応して、慌てて玄関の扉を開けた。
飲み過ぎて鍵を開けられなくなったのだろうか。
経験上、それを疑わなかった。
「よぉ。こんばんは」
「……は?」
扉の前にいたのは、ラフな格好に肩まで伸びた黒髪。
顎髭を生やしているのに、それが似合うくらいには男前だったが
誰だ…?
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