* 頼(らい)

2/23
前へ
/158ページ
次へ
「おはよー。頼」 「おはよう。頼。今日は早いな?」 学園への登校中。 後ろから声を掛けるは、親友の『花芽(はなめ)』と『柚流(ゆずる)』。 花芽は、ちょっと低めの身長に、真っ黒のロングストレートの髪と、短くしたスカートの裾を靡かせて、此方へ駆けて来る。 それを追い掛ける柚流は、スラックス姿で、朝日にキラキラ光る長い銀髪を纏めた束を弾ませ、碧い目を細めている。 「はよ。今日は日直だ」 俺は振り返り、かなり目立つ2人に挨拶を返す。 『姫』と呼ばれる程、見た目は凄く可愛い女の子の花芽は、女装が趣味だが女の子が好きな、れっきとした男だ。 で、髪や目の色とスラックス姿が様になりすぎて、『王子様』と女子に大人気の柚流は、実はクォーターの女の子だ。 スカートを履いてないのは男装が趣味だからではなく、男が集って来るのが嫌だから。 中性的な容姿で男装したら、男にしか見えない(笑)。 女装(?)すれば美少女なんだが。 この事は周知の事実で、皆、初等部からの付き合いな為、すっかり有名人だ。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加