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居間に入ると珍しく母がこの時間からいた。
母は、この町の宇宙開発基地の防衛をしている。詳しい仕事内容は知らないけど、忙しいらしくいつも9時くらいにならないと帰ってこない。
「おかえり健斗、なんでそんなに濡れたのさ。傘持ってってたよね?」
と、ソファーに寝っ転がりながら、顔だけこっちに向けて聞いてきた。
「傘壊れたあげく、トラックに水たまりの水かけられたんだよ。
母さんは?なんで今日帰り早いの?」
母はけらけら笑いながら
「あんた、運悪いわねー。毎日お守りでも持ってってたらいいんじゃない?
私はついてるから、後輩があとは任せてくださいって言ってくれたから早く帰れたの。」
と答えた。
「っけ、後輩方から嫌われてるから、追い返されたんじゃねーぐふぉ!」
母さんが手に持っていたハードカバーの本を俺に投げつけ、それが俺の鳩尾に的中!俺は崩れ落ちる。
「おお、さすが戦闘職種!」
叶美がぱちぱちと拍手をする。それよりお兄ちゃんをいたわってよ…
「ふっ、こんなの朝飯前よ。
それにしても、健斗はよく傘壊すよね。柄のフィルムがボロボロになるくらい使わなきゃ傘が可哀想。」
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