幼女時代

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お父様が大きな机の前に立ち、それと向かい合うように私とレイナが並ぶ。お母様とお兄様は壁際で私たちを見守っている中、お父様が私たちに直接触れぬように布で包まれた水晶を手に話しかけます。 「ではユリシア、お前から測定を行う。前へ来なさい」 「はい、分かりました」 三歳からのキャラ作りは完璧ですよ? 常に丁寧語口調でちょっと腹黒いように感じる、そんなキャラです。これからもこのキャラ、というか私のアイデンティティーを貫き通していくつもりです。 閑話休題。 二人並んだ私とレイナ、眼前に立つお父様から布に包まれていた水晶を一歩前進したのち、両手で受け取ります。 ずっと決めていたのです。これから何属性を使って生きていくのか。 使う予定の属性以外を紙様(誤字では以下同文)から貰った力で制限をつけました。これで検査には引っ掛からないでしょう 両手で包むように持った水晶から光が発生します。その水晶に浮かび上がった属性は―― 「これは・・・・・・風と光が、回っているだと! なんだこれはっ!?」 お父様が水晶を見て叫んだ通り、風と光を表す黄緑、白色の光が渦を巻くように回っています。普通ならば色の光が浮かび上がるだけ。 お父様が驚きと思考の海の奥底に沈みこみ、何も動きが見られず使い物にならないので私から言うとしましょう。 「お父様、これは『嵐』ではありませんか?」 そう、私が使うことにしたのは風に光、そして希少属性の一つである嵐の三つです。 風は必須です。私の家はなにせ風の貴族ですから。 光は大事です。光は補助や回復、障壁などが最も優れている属性なので、私のキャラにもぴったりです。抜かりはありません。 そして嵐。これは風とは別物と言われています。しかし希少属性というのはその名の通り歴史的にも所持していた人数が少なく、謎に包まれている場合が多いのです。 嵐属性は比較的明解であるとされていますが、それが正しい知識であるかどうかは分かりません。そしてこの属性を選んだのはただ単に興味があっただけです。
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