幼女時代

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あれ? レイナは妹ですよ。アレですか? まさかまさかの主人公ポディションですか? いやしかしこの手の主人公キャラというものは最初は魔力が封印されていて、魔力無しとして地下の牢屋などにぶちこまれ、その後危険な森に捨てられるって感じですよね? 捨てられた後になって魔力が解放されて、ギルドマスターとかに拾われて世界最強になるっていうのが定番というか、いわゆるテンプレと呼ばれる展開でありそして女ではなく男が、というのが普通ではないのでしょうか? だとすればレイナの立ち位置というのは一体全体何なのでしょうか? 全属性持ちの女の子キャラクター・・・・・・くっ! 皆目検討もつきません! いや、一つだけありますかね? 女で全帝と呼ばれる最強の方々の頂点に君臨し、どこからか現れたパッと出の主人公キャラのハーレムメンバーにでもされてしまうのでしょうか? 私の可愛い可愛い妹を誑かすなど・・・・・・言語道断です。神様とかいうハエに貰ったスペックを最大限に活用して潰します。そして削ぎます。 何を、というのは――言わなければ分かりませんか? ウフフフフ・・・・・・。 「全属性ってやつか!? やりぃ! これでアタシの夢に大きく近づいたぜっ!」 はっ!? レイナの声で現実に引き戻されは私は、一体何を考えていたのでしょうか? あまり記憶にないですね。 「レイナ、お前の夢とはなんだ? 父さんたちはわからないのだが」 このようにレイナに尋ねるお父様。その疑問は当然のことでしょう。 レイナの夢。 それに私は少なからず関わっています。というより、多大なる影響を与えた人物です。 「アタシの夢は・・・・・・『正義の味方』だ!」 ・・・・・・・・・・・・レイナは本気ですよ。 以前、私が超々王道ファンタジーのお話を聞かせたことがありました。異世界からやってきた男の子が仲間と出会い、色々な人と出会い、強大な力を持った敵と戦って成長していき、愛と勇気と絆の力で魔王を倒してめでたくハッピーエンド。何のひねりもないストーリーでした。 その際、主人公のことを皮肉の意味も込めて『正義の味方』と表現したのです。
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