幼女時代

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しかしながらレイナが正義の味方に憧れるのに、特に可笑しい点は見受けられません。 私は恐れています。先ほど言いましたが、レイナは本気です。下手をすれば一生正義の味方に憧れるだろうと予想さえ出来るほどに。 このままでは最近流行りの勇者(笑)と呼ばれる残念なキャラに成りかねないのです。 私の妹が勇者(笑)。笑えるでしょうか、いえ笑えるはずがありません。そのために、これからは残念な人物にならないように全身全霊を捧げるつもりです。 「つーわけでシア! 今から魔法の鍛練をしに行こうぜ!」 「え? あ、その・・・・・・そうですね!」 しまった。レイナの話を全く聞いていませんでした。あ、言い忘れていましたが、レイナが私のことをシアと呼ぶようになりました。 私がよく分からず返事をするや否や、私の手を掴んで部屋を飛び出し走り初めました。行き先は・・・・・・家の鍛練場のようですね。 「シア、勉強では勝てねぇけど、魔法では負けないからな!」 そう振り向いて宣言してきました。まったく・・・・・・レイナは本当に純粋ですね。英語で言うとピュアです。 だってこんなにも眩しいくらいの笑顔と、輝いている目をしているのですから。 「レイナ、勉強では勝っていますが、魔法でも負けませんよ」 レイナは戦闘大好きっ子ですからね。将来戦闘狂にならなければいいのですが。 正義という名目で戦闘を楽しむレイナ・・・・・・。私はどうすればよいのか分かりません。全力で止めれば良いのでしょうか? まあでも―― 「いーや、勝つのはアタシだっ!」 レイナを守りたいという私の気持ちは、未来永劫変わることはないでしょう。
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