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背後のミジンコはさておき、今は後悔の時間と参りましょうか。
後悔先に立たずとは言われるものですが、でも後悔をしてはいけないということではありません。無意味、無価値だと思っていても、それでも実行するのが人間です。
私には家族がいません。いえ、いませんでした。
しかし子供一人で生きていけるほど優しい世の中ではありませんでしたし、ホームレス小学一年生というのには元々限界がありました。
コンビニや家庭のゴミを漁り、食料を見つけては食べて生き延び、それを続けていました。
警察に通報されたらしく、たまに警察が来ました。
でも逃げました。逃走ルートや拠点を複数所持していたので、捕まることは一度もありません。
しかし体調が優れない日もあります、清潔ではないですし、九割五分が拾い食いでした。残りの五分は何も知らない純粋無垢な少年少女からお菓子などを分けてもらいました。
あの味は忘れられません。まるで体の芯にまで甘味が広がるような感覚、それだけが至福の時でした。
しかし今考えてみると、自分がやってきたことは意味が皆無だったと思わざるをえないものです。
――私は子供でした。
子供である自分の精一杯の抵抗だったのでしょう。自分を独りぼっちにした世界への。悲劇のヒロインにでもなりたかったのでしょう。
ただ辛いだけなのに、意味なんてないのに、何も変わことはないのに、保護されればよかったのに。
しつこいようですが、私は子供でした。
意地になって、周りを見ずに、これで良いのだと思い込んで、これが私の生き方だと自己暗示させ、周りに自己顕示をし、現実から眼を背けて、可哀想な少女を演じて、何時でも抜け出せたのに、何もしないで・・・・・・いえ、わざと不変を望み続けた。
そんな時です、師匠と出会ったのは。
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