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その後、互いに無言で数分間はにらみ合っていたでしょう。
沈黙にこの白い空間が完全に支配されかけたとき、私は話の口火を切ります。
「止めましょう。このようなことを続ける意味はありません。私をここに呼び出した以上、何かしらの理由や用事があるのでしょうし」
一介の人間でしかない私にここまでの時間を割いたのです。理由がないとは考えられません。
もっとも、その理由が私にとって良いことであるかどうかはわかりませんが。
「そうそう、君の考えている通りだよ」
「いつまで私の心を読むつもりですか? 不愉快です、さっさと要件を言ってください」
「相変わらず辛辣だね。辛辣というか毒だね、丁寧語口調の」
多少の毒を混ぜて神様に先を促します。ちなみに誰に対してでも刺々しい言葉を使うわけではありませんよ。相手で選んで刺があったり、毒だったり、はたまた毒の刺だったりします。
・・・・・・優しい時もありますよ?
さあ、要件をどうぞ。
「突然だけど、別の世界に転生しない?」
「いいですよ」
「まあいきなりすぎて驚・・・・・・かない!?」
大きく目を見開いて驚いています。滑稽ですね。無様ですね。あと少しイラつきます。
「なんでイラつくの!? そして驚くものじゃないの!? 転生だよ!」
「あの、もう少し声を小さくしてもらえないですか? 2.5メートル程の距離しか離れていないので、大きすぎる声は頭に響くのですが・・・・・・」
「ガチなお願いだね!? 控えめに言うってことは本気で迷惑がっているんだね!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
こんな感じのやり取りが暫く続きました。
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