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彼女も本当に殺人が遂行されるとは思ってなかったらしい。彼女が書き込んだのは、夫の名前と希望の場所と時間。外では目撃者があってはいけないので、場所は当然、自宅で。
しかし現実に、夫は死亡。そのサイトに書かれていた通りに、焼死したのだ。
「その時、ご主人に何か変わった様子はありませんでしたか?」
「いえ、特には。ただ、かなり遅い時間だったにも関わらず、夫の携帯にメールが届いたんです。でも迷惑メールだったのか、すぐに閉じてました」
「その携帯は今、ここに?」
「はい」
「持ってきていただけますか?」
その後、母親を伴って署に戻ると、携帯を持って黒川のラボに向かう。そのまま黒川に解析を頼み、二人はラボを後にした。
「颯太、同じような事件、調べたらもっと出てくるかも知れないわね」
「ですね」
事件として、世間に知られているのは三件。しかし、今回のように目撃者がいなければ、灰が残っていたとしてもそれが人間のものだと分かる人はいないだろう。風に飛ばされたり雨に流されていたら、灰すら残らないに違いない。
二人はここ二ヶ月程の、失踪者のリストを確認する事にした。
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