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黒川は言葉を濁す。
「その考え、聞かせて貰って良いですか?」
黒川は、確信を持てない事を口にするのが嫌いなのだ。ユキも知ってはいたが、その考えは大抵の場合、大きく真相から外れるものではない事もまた、ユキは知っていた。ユキに促され、黒川はまた話し始めた。
「先ず、どの遺体からも可燃性の物質は検出されていません。そして目撃者の話。突然人が燃え始めたと一貫している。そしてそれが青い炎だという事、更に、その身体が発光しているように見えたという証言もある」
ここで一呼吸吐くと、「何も確証はないんですよ」と前置きして、話を続ける。
「私は遺伝子が何らかの原因で崩壊したのだと考えてます。そしてその“何らかの原因”となる物質を、例のサイト主は手にしてるのでしょう」
「ちょ、ちょっと待ってください。身体が光ったとか炎が青だとかで、何で遺伝子が崩壊したとかって話になるんですか?」
颯太が口を挟んだ。黒川の瞳に一瞬、落胆の色が浮かぶが、すぐに消え去り、颯太に視線を向けて説明を始めた。
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