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「光姫所長、また泊まりですか?」
「やぁ、水居君、おはよう。早いね」
白一色で統一された部屋。そこにフラスコや電子顕微鏡、何に使われているかも分からない様々な機器が置かれている。壁の一面には、様々な薬品の入った瓶が置かれた棚、反対側は窓があり、隣の部屋が見える。そこには白い布を被せられた大小様々な大きさの箱状のものがあり、時折その布が動くのが確認出来た。
そして白い、丈の長い上衣を着た二人の男性。
以上の事から、そこが研究施設である事は明白だ。
「所長、最近此処に籠りきりで、全然家に帰ってないでしょう? 職員みんな心配してるんですよ」
水居と呼ばれた職員は、部屋の隅に置かれたコーヒーメーカーのスイッチを入れながら、心配そうに光姫に視線を送る。水居より年若く、研究者にしては整った容貌の光姫は、そんな言葉に薄く笑うと振り返った。
「もう殆んど完成です。今日は帰りますよ。……私にも良いですか?」
カップを口に持っていく素振りをしながらの最後の言葉に、水居は軽く頷くと、コポコポと音を立て始めたコーヒメーカーの横に、光姫のカップを並べた。
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