第1章

1/5
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

第1章

月の光を儚く反射する金色の鐘が尊大に鳴り、満ちた時を告げる。 灯りも消え、普段ならしんとした静寂に包まれているはずの真夜中の広場。 その中央にある時計塔のもとに、瞳を閉じた少女が一人、佇んでいた。 やわらかな唇が、かすかに動く。まるで愛するひとの左耳にそっと囁くように。 ――ずっと、わすれなかったよ。 鐘が鳴り響く中、白い可憐な花が、風に揺れた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!