第1章

5/5
前へ
/5ページ
次へ
広場に着くと、グラッセは時計塔のもとに座りこむ少女を見つける。 (あの少女は…?) 俯いて長い金髪がかかっており、どんな表情をしているかわからない。 もし眠っていたら。こんなに若くして夢魔に囚われてしまっていたら――。 今はなき王女への償いの意識が脚を動かす。自分に成せることを成すために、歩みよった。 「何かあったのか?」 少女の傍に片膝をついて、怖がらせないようにそっと声をかける。 ピクッと丸い肩が反応して少女がおずおずと顔を上げると、グラッセの目が驚愕に開かれ、息をのむ。 (姫様……?!)
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加