プロローグ 第零章 「変革した世界」

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 今では『ゲート』を詠唱なしで発動させるどころか詠唱をしたところで発動させることの出来る人間はいない。  そもそもAODで魔法を構築している今の世界では本当に廃れてしまったものだ。  本当の意味での失われた魔法。 「でも……彼はたぶん、アウルだよ」  リアーナは黒衣の歩いて行った場所を見つめながらそう言った。 「本当なのですか?」 「確証はないけどね……ソフィアがマスターの帰還を確認したって前に言っていたから」 「……お兄様が生きている」 ◇◇◇◇◇ ルカ・ダーククルム END  テストを終え、アルトはハイセに連れられ一応は登録のために生徒会室へと来ていた。 「まあ、君が負けようが入学することは決まっていたんだけどね」  それを聞いたアルトはどっぷりと疲れたような感じに襲われた。 「俺を試すためだけってことか……ハイセ」 「そう、怒らないでくれたまえ……君を試すように行ったのは彼女だ」  そう言って生徒会室にある大きな椅子がくるりと回る。 「久しいね……アウル」 「……なるほど。お前が……本当に久しい」 「黒衣ってアウルって名前だったの?」  黒衣のことをアウルと呼んだ金髪の女性はとても優しく同時に少し怒っていた。 「最初に言う言葉がそれじゃないよね……」 「……ごめん。これでいいのか?」 「心が籠ってないよ、アウル」  エヴァはジト目で黒衣を見つめる。
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