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そう言って全身黒いコートに身を包んだ男は教科書から一瞬だけ目を離すと、少女の頭に触れた。
「ま、こういうことだ」
それは魔法だった。
「……ねぇ、黒衣。簡単に魔法を使っちゃだめだよ。目立っちゃうよ」
「この格好ですでに目立っているとは思うが……まぁ、善処しよう」
黒衣と呼ばれた男は少女の頭をポンポンと軽く叩く。
「そうやって子ども扱いして……」
「子供だろ」
「そりゃあ……黒衣に比べたら子供だよ」
「吸血鬼のくせに」
「化け物のくせに」
男と少女のやり取りは本当に内容がずれているような気がする。それはさておき、黒衣と少女の乗った馬車は程無くして目的地である学園へと到着した。
少女はここの学生になることが決まっているためすんなりと中へ入ることが出来たが男の方は中々中に入ることが出来なかった。
「……入学申請ってどうやるんだ」
門番らしき学生?に黒衣は尋ねる。
「入学の案内書みたいなものを持っていますか?」
「持ってないな」
「それでしたら、テストを受けて頂きます」
そう言って門番は係りの人間についっていってくださいとだけいうと入口を開けてくれた。
「……面倒だ」
「久々に黒衣が戦うとこ見れるね」
少女はそう言って楽しそうに笑うと黒衣と呼ばれた青年に抱き付いた。
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