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「ルカ・ダーククルム。彼女はとんでもなく強いから彼女が君の実力を見てくれるよ」
「ご紹介に与りました。ルカ・ダーククルムです……そんなに怯えなくても大丈夫ですよ……え~と、エヴァさんでしたね」
ルカは柔らかい物腰で丁寧な口調でそういった。
(……黒衣、あの人たぶん魔術師だよ)
(わかってる……だが、大したことはない)
(さっすが、師匠)
黒衣は念話でエヴァと会話するとルカに向かって
「じゃあ、やろうか」
短く返答とした。
テスト用に用意されたフィールドはかなり広く、そこに二人だけだと何だか少しばかり寂しく感じてしまう。
中央で開始の合図を待つ二人。
「……騎士道たるもの、戦闘に仮面をつけるとはどういうことですか?」
ルカが黒衣に対してそう尋ねた。
「生憎、俺には騎士道なんて精神を持ち合わせてなどいないものでな、俺の素性がそんなにも気になるか、小娘」
「小娘呼ばわりされるほど、私は弱くはありませんよ……不審者」
ひどい言い様だと黒衣は盛大に笑った。
「さて、互いに構えようか……」
ルカはその言葉に応じるように腰を低く落とす。
抜刀の構え。
先に提示した黒衣は構えという構えを示すことはなかった。
「ふざけているのですか」
「いいや、ふざけてなどいないさ」
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