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「完全に……空気だよ」
エヴァはそれだけを言うと生徒会室からアルトより先に出ていった。
「彼女出ていったようだけど……」
「あれなら心配ない。それよりもどうしてお前がここにいるんだ、グロリアーナ・ライトロード」
リアーナは一指し指を立てると左右に振った。
「今のわたしはグロリアーナ・ライトロード・アディンセルだよ、アウル」
少し誇らし気に左の手に付けられた指輪をアルトに見せる。それはかつてアルトがリアーナに対してあげたものだった。
「エンゲージリングか。全くお前といい、ロゼといいどうしてこうも愛想を尽かしてくれないのかな?俺みたいな人間をどうしてそこまで思えるのか知りたいものだ」
アルトは本当にわからないというような表情でリアーナを見るとリアーナは苦笑する。まるで自分も答えを知らないと言っているような気がした。
「そうそう、アウルの経営してた、孤児院は今わたしが経営しているから。それと」
リアーナは机の上に置かれていたカードのようなものをアルトに投げてよこした。綺麗な回転をしながらそれはためらうことなくアルトのもとへと飛んでいく。
アルトは無造作にそれを受け取るとそこには何も書かれていないただ黒いだけのカードだった。
「それはカートリッジ。今の世界のことをあまり知らないと思うから教えておくね」
「自分の方から代わりに説明しましょう。リアーナさんはギルドから呼び出しがかかっていますので」
「もう、そんな時間?」
いつの間にか戻ってきたハイセがリアーナに対して進言する。
「それにしても、お前は生徒たちの長なのに立場的には弱くねぇか?」
「それは結構仕方ないことなのですよ。リアーナさんとルカさんは名家出身ですからね。それに実力も国認められていますから」
「ごめんね、アウル。この学園にいる限り……うんん。この世界にいる限りまた会えるから」
そう言ってリアーナは何かを小さく唱えるとこの場から姿を消した。
「で、話は戻るけどこれは?」
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