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「それはカートリッジ。この世界で生活するには無くてはならないものと言っても過言ではないですね。この学園にいる限りは重宝することになるよ」
一呼吸。
「それにはこの学園に所属する全生徒の名簿があって、例えば……エヴァさんと連絡が取りたいというときそれをこういう風に使います」
ハイセは自分のカートリッジを取り出すとそれを空中に投げた。
「『コール』」
するとアルトの持っているカートリッジが淡く光出し、何も書かれていないはずの表面に名前が浮かび上がる。
「なるほどね。通話したい相手の名前を頭に入れ、唱えるだけか。中々に便利だ」
(……念話の劣化版か?それとも携帯電話の劣化版か?いや、携帯よりは優れているか)
アルトはあちらの世界にいたときことを思い出しながら苦笑した。
「あとはどんな機能があるんだ?」
「あとは実際に学園生活の中で使ってみた方が早いかもしれないですね。それにそのカードは限度額無制限のキャッシュ機能も付いているから……」
まぁ。
お金は入っていないのだが。それでも限度額無制限ということはかなり貯金出来る。アルトにとってそれは大きかった。
こちらへきてまだろくにお金を稼いでいないアルトにとってハイセがこの後に言った台詞は大きかった。
02 ギルド 前編。
一通りの手続きを終えたアルトは自分の部屋へとやってきていた。個人部屋と言われていたためどれほどのものかと、それにアルトは驚愕した。
「広過ぎるだろ」
一人暮らしをするにはあまりにも広過ぎて少々居心地が悪い。とすでに同じようなことを思ったのか中に入ると先客がいた。
「黒衣ぃ~。おそい」
「悪いわるい。エヴァ」
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