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「本当に悪いって思ってる?黒衣はエヴァのパートナーなんだから。エヴァを忘れないでよ」
「本当にごめんって。それにしてもお前の部屋もこんな感じに広いのか?」
「……ん。だから黒衣の部屋に住むことにした」
エヴァは何やらカートリッジを取り出すと早くもそれを使いこなしているようでアルトに何かを送信した。
「申請書?」
「ハイセさんの了承済み」
内容を読んでみると、パートナー同士一緒にいた方がいいだろうというような内容で同居することが記されている。
でも、まあ。
ちょうどいいか。
アルトはそんな風に感じていた。彼女をあまり一人にしない方がいいかもしれないという判断からだ。咎人は孤独に慣れ過ぎている。
「黒衣はこれから一週間何か用事でもあるの?」
唐突な質問。
一週間というのは入学式が始まるまでの期間だ。何でも毎年少し遅らせることで転入生をなるべく減らそうということらしい。
時期早々だとは思っていたが、そんな思惑があるのだ。
「俺は、学園から一番近くのギルドに行こうと思っている。金がないからね」
「エヴァもお金がないんだった。それにAODもないよ」
「ならギルドにいくついでに町の魔工房でも寄ってみるか。……いや、逆だな。仕事をしてから寄ってみるか。それにもしかすると支給品として売ってるかもしれないしな」
とりあえず、行動することにした。
黙っていても仕方ないし、それに時間は待ってくれない。
アルトが二人分の外出手続きをし、学園を出ると複数の団体に出会った。
よく見てみるとどうやら新入生の団体のようだ。アルトはその中に気になる個体を見つけたが今はそれどころではなく、エヴァを連れて近くの町まで行くことにした。
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