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葵も、意味深に笑うだけだ。
「ついでに笹プロやら何やらのクズどももまとめて潰して冥土に送ったげたわ。幸福会とくっついてたから、ま、大して探る手間も無かったわね」
「…お師匠様容赦無いなあ相変わらず」
「街丸ごと瘴気で冒そうとした弟子には劣るかもよ?」
些細な、じゃれあいに似た応酬。
今度は、葵の杯を、篁一が満たす番だった。
葵は、笑う。
「暇があったら、現世に遊びにおいでなさい。私も暇なら構ったげるし、舞雪ちゃんも、その他の子も、きっと首を長くして待ってるわ」
「そう、ですね」
確かに、あの時、色々な人にお世話になった。
いつか、お礼をしなければならないだろう。
しかし―――今は、暫し、この春の夜に、酔っていたい。
それだけを思って、高村篁一は暫しの酔いに、身を任せていた―――。
春は深く。
彼岸の夜は、明けることはなく。
死神達は、宴の中である―――。
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