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「彼女とうまく行ってるんだろ?」
「もちろん。あいつのことは大事だからな」
平然と言うのに腹ただしさを感じたが、俺は抵抗の手段を封じられているので、睨むことしか出来ない。
「彼女が大事だと言いながら、お前は何をやってるんだよ!」
「理由が欲しいのか?お前だって、他の女と寝るときに理由なんて持ってないだろ」
再び怒りと恥ずかしさで、顔が紅潮するのが分かる。
そんな俺の顔を見下ろしてクスリと笑うと、今度は頬に唇を寄せる。
「ああ、理由はあるか。彼女を抱けない代わりか」
「いい加減にしろよ」
怒りが沸々と沸き起こるのを感じるが、なぜか身体に力が入らない。
確かに付き合っている幼馴染みの彼女はいるが、こいつだって俺がどれだけ苦労しているのか知らない訳じゃ無いはずだ。
キスするのにだって、何ヵ月かかったか。
大事すぎて触れられないなんて、彼女に対してだけだ。
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