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一瞬、自分の身に何が起こっているのか理解出来なかった。
柔らかな唇の感触を感じるのは初めてではないが、自分の領域に他の人の舌が入り込んできたのは初めてだ。
息苦しさと、状況を理解した後のパニックで、俺の頭の中は酸欠状態だ。
「お前、何考えてるんだよ!」
やっと離れた相手に一番最初に浴びせた台詞に、ヤツはただ可笑しそうに笑う。
「何だよ、顔真っ赤だぞ。感じたのか?」
「違う!…お前、酔ってるんだろ?だからこんな悪ふざけを…」
「缶ビール1本位で酔わないし、酔った勢いでこんなこと出来るか」
そう、ヤツの眼は確かにいつも通りで、冗談ならこれでおしまいとなるはずが、そうでもないらしい。
しかも気がついたら、キスされている間に両手首をしっかりと紐で縛られていた。
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