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そして、お父さんが旅立つ当日、お父さんも私たちも号泣しちゃって大変だったのよね。
でね、運送会社の人に、
「予定が遅れちゃいますよぉ!」
って言われるまで、出発出来なかったのよ。
そして最後にね、愛用の硯箱にクルクル巻いた手紙を入れてから、泣きながら旅立って行ったわ。
もう、私も悲しくって、その手紙を読めないでいたんだけど、お父さんの姿が遠く見えなくなっちゃうと、寂しくなって開けてみたのよね。
内容はね、
「ー兼家君へー
今回は遠い所に赴任しますので、あなただけが頼りです。どうか娘と末永く仲良くしてやって下さいね。
ー義父よりー」
泣けたわよ。
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