0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
家族愛
「子宮体癌です。」
「どのくらい酷いのですか?」
「今の段階ではステージ1ですが実際に手術で看てステージ3、もしくは末期の可能性も無くはありません。」
俺は震えが止まらなくなった。
母親がストレスによってだろう。体調に変化を感じ、検査をしたら癌が発見された。
ただ当の母親は、
「早めに見つかったよかったよ。」
なんて言っている。だから俺はたまらずに聞いてしまう。
「怖くないのか。」
「今朝の占いで健康運が1位だったでしょ。だから治るし、早めに見つかったんだよ。」
なんて言っている。
俺は母親がどれだけ大変な思いをしているやか理解しているつもりだ。
母親がいないときは俺は家のことをなるべくしているからだ。
だから、俺は母親には楽をしてもらいたいし、他の家族にも協力を求めているが実行に移してもらえていない。
僕が祖父母とよくケンカもして母親に迷惑をかけ、我慢している姿もみた。
兄貴のワガママにそれなりに振り回されている事も知っている。
親父が朝はやいから、朝の5時前に起きているのに寝る時間は早くても11時を過ぎて、誰よりも早く起きている。
世の中公平なんて言っている人もいるがそれは建て前だ。
努力家や最も頑張っている人が楽をせずに死ぬ。
そして自分勝手で周りに迷惑しかかけない人が長生きをする。
いやそれだけならまだ良い。
両親を殺されたのに、証拠不十分で逮捕されない、なのにこちらが相手を陥れようとすると逮捕されてしまう。
はっきり言える、真面目に生きると馬鹿を見ると。
それでも母親には生きてほしいから俺は
「先生、母を治すために俺の血肉全て使ってもかまいませんから母を必ず治して下さい。」
俺は母親の半分も生きていない。だけど人生に飽きてしまっている。
これ以上生きても楽しみを見いだせないでいる。
歪んでいるかもしれないが俺は母親に長生きをしてほしい。
母親はこの家に必要な存在だし、俺は頑張っている母親に長生きしてもらいたい。
歪んでいるかもしれないが、これが俺の感謝の気持ちだ。
俺は俺が死ぬのは怖くない。だが俺の目の前の人が死ぬのは怖い。
特に母親には死んでほしくないんだ。
歪んでいるかもしれないが、これが俺の家族愛の型なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!