第零話

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これは長い長い悲劇のお話。 あるところに超不幸体質の少女がいました。 虐め。虐待。両親の自殺。友人の殺害現場目撃。誘拐。 鬼子、忌み子と嫌われ追放。詐欺。性的虐待。人身売買。奴隷。 少女の不幸はとどまることを知りませんでした。 そして生まれた9人の人格。 百花。朱莉。優華。海。留美。星也。戒斗。陸埜。蓮斗。 9人が生まれ、少女は少しだけ幸せの意味を知ったとき。 少女は殺されました。 そんな少女を可哀想に思った神様は、少女と人格たちを呼び出しました。 「来世はどんな人生が送りたいのか教えよ」 10人は言いました。 「幸せな生活を送りたい」 神様は微笑みました。 「そうか、ではこの世界で幸せに暮らすが良い」 その世界は・・・禁断の本が封印されし世界。 神様はそのことを知りませんでした。もちろん、10人も。 そして生まれかわった10人の男女。 そして起こった悲劇・・・。 10人は大貴族中の大貴族。アールグレイ家に生まれました。 超不幸体質だった少女は、名を[リリアーナ・アールグレイ・ルリア]と改めました。 リリアは家族や人格たちとともに、幸せな生活を送っていました。 ――リリア 3歳 リリアは生まれながらにたくさんの才能を持っていました。 頭脳はもちろん、魔法、妖精、神獣にも愛されており、3歳にして多くの魔法を知っていました。 そのリリアがはじめて興味を示したのは『終焉の栞』という本でした。 その本が・・・封印されし呪われた本。 リリアはその本のことを知っていました。もちろん、呪いのことも。 ですが3歳にして最強と謳われた少女には、呪いなど気にもとめませんでした。 そして開いてしまった『終焉の栞』 何も起こらず、気を害したリリアは家に戻りました。 ですが、人格たちが誰一人としていなかったのです。 リリアは毎日毎日、日が暮れても探し続けました。でも、いませんでした。 そう・・・9人は巻き込まれてしまったのです。『終焉の栞』に。 終焉の栞は噂話が現実になるお話。 百花は「眠らない墓」 朱莉は「見えない友達」 優華と海は「呪われし双子の鬼子」 留美は「死への扉」 星也は「原因不明の悲しみ」 戒斗は「血のビジョン」 陸埜は「少女の霊との交信」 蓮斗は「招かれざる客」 皆、散り散りに飛ばされてしまいました。 自分を責めたリリアは10歳になったある日、人格たちを 探しにいくことを決意しました。 悲劇を・・・終焉に向かうために。
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