【第壱話 ある初夏の噂。少年は双子になったんだって…】

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「ここがドッペルゲンガーが出たって噂の村かぁ・・・」 リリアがまず訪れたのは最近少年のドッペルゲンガーがでたという噂の農村だ。 自然に恵まれる豊かな農村といわれていただけあってとても綺麗な場所だった。 『清い気が流れているわね・・・。ここは好きになれそうだわ』 そう言ったのは澄んだ水色の髪を持つ精霊のウェンディーネ・シャラール。 水精の中でも二番目の地位である水精姫であり、リリアと一番に契約を結んだ精霊だ。 『たしかにここには良い気が流れている。我も好きになれそうじゃ』 おばあさんのような口調で話すのは太陽の光でキラキラと輝く白髪(はくはつ)をもつ精霊のシルフ・エインセル。 風精の中でも二番目の地位である風精姫であり、リリアと二番目に契約を結んだ精霊だ。 「水精姫さん、風精姫さん。じゃああの噂は違うのかな?」 コテンと首をかしげるリリアに二人はハートを打ち抜かれてしまった。 (あぁもう・・・!本当にリリアはかわいいわね!!!) (この世界で一番かわいいといっても過言じゃなさそうじゃ・・・!) 二人がそんなことを考えているとは知らないリリアは頭にハテナを浮かべる。 そんな二人に見かねたのかついさっきまで空を飛んでいた小鳥がリリアの肩に乗った。 <そうでもなさそうよ?村の上を飛んでみると分かったけど悪い気がある場所にだけ流れているわ> よく通る女性の声で話しかけたのは神獣の天鳳。 天候の神の僕で普段は小鳥の姿だが本来は白銀の羽と真紅の目をもつ、巨大な鳥型の獣だ。 「てんちゃん!ある場所ってどこなの?」
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