プロローグ

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【明治二年五月十八日】 ついに五稜郭が開城されたらしい。 旧幕府軍の抵抗も 今日をもって終わりを告げたようだ。 遠い北の地で、 どれ程の命が散っていったのだろう。 もし、〈あの日〉、 何も起こっていなかったなら――― 俺たちもまた、五稜郭を枕に ことごとく討死していたのかもしれない。 そう思うと今も筆を握る手が震える。 今、俺がこうして文字を書き、 そして読むことができるのは どんな差別にも屈することなく 自分の道を自分の足で歩んできた 仲間たちがいたからだ。 彼らの信念がいくつもの奇跡を呼び、 俺はこうして筆を執っている。 しかし、その奇跡までの経緯は――― 歴史から、人々の記憶から姿を消した。 今、ここに綴る。 〈彼ら〉との大切な記憶――――――

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