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「・・・ただいま。」
俺は電気をつけると靴がひとつあることに気がついた。
(・・・兄貴帰ってたんだ。・・ってか帰ってきてたんなら電気くらいつけろよ)
そう思いながらも、少し嬉しくなった。
俺の家はもともと、4人家族だが、おふくろはヴァイオリニスト。オヤジは指揮者で世界を飛び回っていて、最近では月一回会えればいいところだ。俺ら兄弟を音楽の方へ無理やり進めなかったので、兄貴は昔からの『教師』という職業に大学生でありながら、ついている。しかも名前が通っていて、あっちこっちの学校に呼ばれている。
兄貴は家にはあまり仕事をもって帰らないようにするため、夜遅くまで仕事をしている。帰ってこなかったっていうのはなかったが、次の日ギリギリなる前に帰ってくることはあった。最近ではまぁまぁ早く帰ってきていた。
しかし、俺より早く帰ってくることはなかったので、とても新鮮だし、嬉しかった。俺は、素直に心の中で喜んだ。
リビングに入ると丁度兄貴がソファーから起きた。
「・・・・おかえり・・海斗。」
「・・・・・ただいま。」
久々に『たたいま』って誰かに言って変な感じがした。
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