いつもの朝

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俺はいつもの様にベッドから起き、朝食のパンを食べる。 親父は単身赴任で東京から福岡の支社に行っていて、お袋は未就学の弟と町内会の旅行で長野に行っている。 姉貴は大阪の大学へ、兄貴も独立して仙台で家庭を持っている。 この家には俺一人しかいない。 焦げ掛けのトーストをかじり、ふとテレビを見る。 鳥取県で殺人事件が起き、40歳の会社員が殺されたそうだ。 日本では毎日殺人事件が起きて人が死ぬ。 世界ではまだ内戦や紛争があり、多くの人が死ぬ。 だが、そんなのはテレビで放送されて知る出来事で当然会った事も無い人達ばかりだ。 悲惨とか可哀想とかそういう感情もいつしか無くなってしまった。 明日もまたどこかの県の誰かが殺されるだろう。 明後日も明々後日も。
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