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   もし。もしも。  そこに一人、或いは独りいるだけなのに。  万人、億人の人々の技能を持つ者がいたら。  万人、億人の人々の《すべて》を持つ者がいたのなら。  どうなるだろうか。  一人或いは独りで、何万何億の人々の《すべて》を持ち、何もかもを平均以上にこなせて、何もかもを平均異常にこなしてしまえる。  そんな者がいたのならば、どうなるだろうか。  それは、増殖が増殖し、集合に集合し、団体が団体し、収集を収集に重ねた、余りにも重複過ぎる者が、いるのならば、どうならなければならないのだろうか。  が、それ以前に。  果たして。  そんな矛盾しきった存在が、果たして《いていいのだろうか》。  
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