それぞれの日常

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舞斗side 俺には両親がいない。 6年前に交通事故で亡くなった。 双子の妹の柊明(ヒイラ)と舞明(マイラ)が生まれてすぐの事だった。 俺の家、黎泉家は日本で一番、世界では貴族のトップに立つ家柄だ。 その為必然的に俺は12歳にして世界の貴族のトップにならざるおえなかった。 祖父母もその事故で他界したため、柊明と舞明を俺が育てている。 金には困らない。 黎泉家は世界一の地位と名誉と権力を持ち合わせている。 誰も俺には逆らえない。そして逆らわない。 俺に逆らえば首が飛ぶと思っているのだろう。 バカバカしい。 両親がいる頃から変わらなかった生活を変えたのは紛れもない両親の死と生まれた時からの付き合いの幼馴染達だった。 家庭環境のせいか人の顔色を伺う事は得意だった。 適度に甘やかされ、それなりに厳しく育てられた。 将来は自分が上に立つんだと。 俺が世界にいる約200の貴族をまとめあげるんだと。 すべて俺の前でひれ伏す。 本当は自分は傲慢な性格なんじゃないかと思う事がある。 でもそんな自分を制御出来てるのは旭、翼裟、銀朱、遥揮のおかげだ。 あいつらがいてくれるからバカ出来るし、冷静に考えられる。 俺にとってはかけがえのない存在だ。 柊明と舞明の事も可愛がってくれたり、俺達兄弟は世話になりっぱなしだ。 幼い二人を育てるのは並大抵の苦労じゃ出来なかったと思う。 二人は両親の顔を覚えていない。 どの迎えにも俺が行くことに一番下の舞明には 「舞にぃじゃなくてパパとママがいい!!」 って言われたりもしていた。 柊明は薄々気付いて居るようだ。自分には両親がいない事を。
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