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選んだ事に後悔したことはない。
幸い誰にも真似の出来ない才能があったから。
俺はこれで良かったんだと思い始めたのが高校のときだった。
銀朱にドラムを勧めたのは才能を感じたのもあるが、自分が、妹が両親の音楽家になるという期待に応えられなかった罪悪感もなかったとは言えない。
俺は家族が大好きで大切だから、両親の悲しむ顔は見たくないし、させたくない。
俺の傲慢で銀朱にドラマーと言うものを押し付けてしまったのかもしれない。
俺は銀朱の思うような完璧な人間なんかじゃない。
仮面が人より頑丈なだけだ。
よほど兄としてなら翼裟の兄の律哉や舞斗のほうが立派だろう。
でも俺は銀朱の憧れの兄で居続けたい。
だから俺は銀朱に夢を諦めて欲しくはない。
そんなふうに思ったのは銀朱が進路希望調査表を俺の元に持ってきたことから始まった。
めると「銀朱。お前は何になりたいんだ??」
銀朱「めるにぃ……俺、正直いって将来が全く見えないんだ……何をしたいとか全然分からないんだ。」
めると「好きにすればいいんじゃないか??俺は誰にも言った事がなかったけど、医者になりたかったんだ。」
銀朱「めるにぃが医者??」
めると「ああ。想像できないか??」
銀朱「うん…。だって昔からめるにぃは絵が上手かったから…最初からその道に進むって決めてたんだとばっかり思ってた。」
めると「医者になりたいってのはずっと思ってた。でも高校に入って思ったんだ。両親の望む道ではなかったけど北荻家の長男として芸術一家の中で仲間に入ることができたと思う。後悔はない。」
銀朱「俺は高校最後の年にもなって先が見えない。でもドラムは続けたいし、SKYHISTORYは楽しくてしょうがないくらいだよ。でもみんながそう思ってるとは限らないから。旭は家的に医者になるだろうし、遥揮だって淡路家にスタンフォード家も継ぐ、翼裟は分からないけどあいつには才能がある。俺はなんなんだろうな……」
めると「お前にも才能がある。ドラムはお前の唯一無二の才能だ。俺はそう思う。あの日お前にめると一緒にあのドラムを贈ったあの日から。」
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