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女の子が右往左往している。どうやら道に迷っているらしい。
十字に折り目がついた紙を九十度、百八十度に回し、睨みながら、今いる場所と照らし合わせては首を捻っている。
俺――杉原俊司の進行方向の真ん前で。
邪魔な事この上ない。
見た目年齢は俺と同じぐらい。身長は百六十あるかないか。朱色の髪は腰の辺りまで長く、彼女がキョロキョロするたびになびく。千里学園の女生徒用制服を着ているから、うちの生徒なんだろうけど。
ともかく、声をかけよう。このままスルーして行くのもなんだし。多分行き先は千里学園だろうから。
そう思い、声を出そうとした途端、彼女の体がなんの前触れなしに傾いた。
「何だどうした?!」
咄嗟に駆け寄り倒れる体を支える。
「大丈夫か?」
女の子の顔を覗き込む。 遠目から見ていても分かってたが、こう至近距離で見ると、彼女がそんじょそこらの女の子とは比べ物にならないくらい可愛いというのが分かる。思わず見惚れてしまった。
「ううん。大丈夫じゃない。慣れないことしたから、お腹すいて……」
「空腹で倒れるって、何時代の人間だ」
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