プロローグ

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「まあな。俺が言うのもなんだけど、今のコンビニで買えない物は無いんじゃねぇか?」 「富とか名声も売ってるの?」 女の子が目を輝かせながら訊いてくる。 「売ってるか! 富を金で買うってどういう事だ! 欲しいのか? 見た目に似合わず欲深いんだな!」 惣菜パンが置いてあるエリアを見つけると、真っ直ぐにそこに向かった。女の子も俺の後に続く。 「ほら、さっさと買えよ。遅刻しちゃうから」 「え? 買ってくれるんじゃないの?」 女の子が心底驚いたような顔で訊いてきた。 「何で初対面の相手に奢らなきゃならないんだよ」 「アタシこっちのお金持ってないもん」 「金持ってねぇにコンビニまでついて来たのかよ」 「買って買って買って買って買って買って買って」 子供みたいに駄々をこねてたかる女の子。 声は店中に響き渡り、店内にいるお客さんや店員さんの注目の的だ。 「買ってやるよ! 恥ずかしくねぇのか」 「ホント! ありがとう。いい人だね、キミ」 パン買うだけでいい人か。随分ハードル低いな。 女の子は、唇に指を当て、品定めしている。 「う~ん……あ! これおいしそう!」
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