プロローグ

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からしマヨネーズが塗られたソーセージパンを手にとると、切れ目にそってビニールを破いた。 「なに開けてんだ!」 女の子の手からソーセージパンを奪い取る。 「買ってくれるんじゃなかったの?」 不満そうな声を出し、唇を尖らせる女の子。 「まだ金払ってねぇだろうがよ!」 開封したパン一つだけでは失礼だと思った俺は、目に入ったパンを二つ掴んで、レジに持っていった。 「どうもすいません。買う前に開けてしまって」  何で俺が謝らなきゃならねぇんだ! 一部始終を見ていた店員さんは深く追究せず、営業スマイルで対応してくれた。 「こちら、新しいお品物と交換なさいますか?」 「いいえ。どうせすぐに食べますし、悪いのはこっちですから」 財布を取り出し、丁度の金額を出して、パンを受け取り、女の子に渡した。 レジ袋から早速パンを出して食べ始める女の子。 「店の中で食べるな」 女の子の背中を押して、店内から出る。 「ぅわぁ! おいしい! やっぱりお腹すいてるときはなに食べてもおいしいね」 もう二個目のパンを開けながら、屈託なく言う。 「お前さっきから失礼三昧だな」
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