STAGE1:壊し屋スパイス

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実際東北から離れる人が多く存在し、東北の人口は激減。活気も見る見る内になくなっていった。 観光客もなく、 人口はなかなか増えず、 噂は噂を呼び、 差別の格好の的となり、 ゆっくりと過疎化が始まり、 つまるところ。 見捨てられた地、とはこの事だろうな。当時の人々は被害者も傍観者もそう見えたらしい。 ―――2030年。放射能汚染も大分収まり、放射線濃度も基準値クリアまでの域に達したその年、東北のお偉い方達はある博打に打って出た。 東北の真ん中にマイナスイメージの原発事故による風評被害を払拭するために、それ以上にインパクトの強い、みんなが行きたいと思えるようなプラスイメージの町・完全独立自治区「銀世市」の開発である。 東北の活性化及びイメージの払拭による人口増加を目的としたもので、どの県にも属さない代わりに「東北に属す」ことで東北全域が開発を支援し、負担するシステムを作り出した。 そして、世界中からかき集めた近未来の文明・科学力・技術力を結集させ詰め込むことでついに5年後、銀世市が誕生した。 当初は人気もあり、一旦経済も人口も盛り返したのだが。 ・・・残念なことに。エンターティメント性にのみ特化させたせいなのか、適応できる人が限られ、また、すぐに飽きられてしまったのだ。 行き過ぎたエンターティメントは、決して面白いというわけでなく、むしろ苦痛なのだ。 結果。世間の人々の興味も関心も薄れていき、 想定していたよりも早く廃れ、目標は達成するどころか自分で自分の首を絞めることとなったのだ。 ―――故に「廃都」。 当時の目的とは裏腹に、東北地方を借金まみれにしながら政治も介入しない最大のマイナスイメージ、無法地帯と化していた。
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